
去る11月11日、鹿児島大学医学部・歯学部病院のWOC看護認定看護師 宮薗幸江先生をお招きして、『褥瘡予防とケアの実際』について講演会を行いました。褥瘡とは、いわゆる床ずれのことです。
内容は、褥瘡発生の予測・体圧分散マットレスの選択・褥瘡患者の栄養療法・創傷治ゆ過程を考慮した褥瘡ケア・外用薬や創傷被覆(ひふく)剤の使用方法について等多岐にわたるものでした。写真や図を取り入れて具体的な説明をしてくださり、とてもわかりやすく、以下に述べるようにどれも今後の参考になるものばかりでした。
〈発生の予測〉
皮ふの表面に発赤を認める時は、骨に近い部分ではかなりのダメージを受けているため、早期の発見と予防が大切である。
〈ポケット予防〉
ギャッジアップによる寝具のずれ、皮ふのずれがポケット形成の原因になるため、ギャッジアップ・ギャッジダウン時には必ず背抜きが必要である。
また、ギャッジを上げるときに比べて、下げるときのほうが3倍の圧がかかるといわれ、ギャッジを下げる場合は徐々に下げることが大切。
〈予防寝具〉
予防寝具(マットレス)の使用基準は、日本語版ブレーデンスケール14点以下と予測できる患者さんが対象となり、予防寝具除去の時期としては、日本語版ブレーデンスケールの活動性の得点が2点になった時(座位可能)とする。手術後では術後2日目に評価をする。
〈アセスメント〉
1.褥瘡の深度 2.壊死(えし)組織の有無
3.感染の有無 についてアセスメントを行う。
|
感染の兆候を認めた時は、
1.直ちに感染に強い外用薬に変更する。
2.創をよく消毒し洗浄・感染の温床となる壊死組織をできるだけ速やかに除去する。
3.感染が創周囲の組織に及んで蜂窩識炎(ほうかしきえん)(皮ふのひどい炎症)を起こした場合や骨髄炎が疑われる場合には、抗生剤の全身投与も考える。
〈創傷スキンケアの基本〉
1.創周囲の皮ふを石けんで清拭する。
2.ぬるま湯で石けんを流す。
3.創内を生理食塩水にて洗浄する。
4.滅菌ガーゼにて水分を吸収する。
〈創傷治ゆの3原則〉
1.創面の至適環境:湿潤環境・保温・弱酸性の環境
2.創の保護:消毒剤を避ける、新生肉芽や上皮の保護
3.創の清浄化:デブリードメント(異物・か皮・不良肉芽)化膿を治める。
最後に医療従事者として、褥瘡発生予防に努める・褥瘡を早期に発見し、治療を始める・患者の苦痛を最小限にすることが重要であることを話されました。
今回の講演会には187名の参加者があり、他施設からも16名の方が参加してくださいました。講演会終了後のアンケートでは、参加者全員が関心の持てる内容でよかったと答えており、「最新の褥瘡ケアの方法がわかった」「褥瘡を作らないようにすることがいかに大事かとつくづく感じた」「中途半端な知識で体位変換を行っていたので、今日学んだことを活用したい」など約90%の方が今後の業務に役立つと答えてくださいました。ありがとうございました。
当院の現状では、褥瘡をもって入院してこられる方、又は入院してから褥瘡を作ってしまい、完治しないまま他の施設へ転院される方があります。今回、講師の宮薗先生には、お時間を頂き、講演前、実際に回診にて、ケアに対するアドバイスや評価もして頂きました。客観的に見て頂くことで、対応に苦慮していた問題に解決の糸口を見つけることができたり、スタッフのモチベーションもあがったように思います。今後褥瘡対策委員会では、特に予防対策に力を入れて褥瘡を作らないように努力し、他施設の方々とも交流を深めていけたら良いと思っています。
(文責:花田)
|