表紙 1・2ページ 3・4ページ 5・6ページ 7ページ
次ページへ 広報誌トップへ 阿久根市民病院トップへ


新年のご挨拶

院長 田辺 元


 新年明けましておめでとうございます。

 一年は長いようで短く、昨年もあっという間に過ぎ去った感があります。世相の慌しさに、ついつい気ぜわしく過ごしてしまったような思いですが、今年は少しゆとりをもって、穏やかな時間を過ごしたいと念じています。みなさまはどのような新年をお迎えでしょうか。

 さて、今年は医療制度改革が益々推進されます。老人の医療費負担増など暗い話題が多いですが、一方では医療をより公正にかつ効率よく受けられるようにとの意図で推進されているのが医療施設の役割分担の明確化といわれる政策です。これは医師が一人しかいない診療所などの「かかりつけ医」と、多くの医師や高度医療機器を備えた「大規模病院」ではそれぞれの役割が異なることを理解していただき、目的にあった利用をしてもらおうというものです。

 すなわち、「かかりつけ医」は、その呼び名の通りかねてから気軽な健康相談や風邪などちょっと具合が悪いときに診てくれ、場合によっては往診も可能ないわばホームドクターで、長期にわたってみなさんの健康状態を管理してくれる病院です。

一方、「大規模病院」は、急患や重症な患者さんに対し専門的な医療を提供する病院で、阿久根市民病院もそのひとつです。比較的病状の安定された方が「大規模病院」に大勢受診されると、「大規模病院」が本来なすべき重症な方への治療に支障が生じがちです。したがって、「かかりつけ医」と「大規模病院」は区別して御利用いただくことが大切です。「かかりつけ医」が「大規模病院」の受診が必要と判断された時は「かかりつけ医」が紹介状を書いてくれます。また、「大規模病院」で「かかりつけ医」での診療でよいと判断された場合も「大規模病院」の医師が「かかりつけ医」へ紹介状を書きます。

 このように「かかりつけ医」と「大規模病院」は密接な連携を行い、みなさんに公正かつ効率よい医療を提供しようというのが役割分担の明確化といわれる制度です。国によるこの制度に対する指導も厳しさを増してきてます。御理解の程お願いします。

 より多くの方が安心した日々を過ごされますよう職員一同さらなる努力をしてまいります。

 今年もよろしくお願いします。




*災害・救急医療について

 1995年の阪神大震災以降、自然災害のみならず列車脱線事故などの人的な大災害が相次ぎ、災害医療や救急医療の重要性が再認識されています。出水郡医師会においても災害医療や救急医療の充実を図るべくさまざまな活動を行なっていますので昨年の活動状況をご紹介します。

 救急の日(9月9日)に因み市町村と出水郡医師会共催で毎年災害訓練が行なわれていますが、昨年も9月9日に阿久根新港で救助ヘリコプターまで参加した大地震を想定した大規模訓練が行われました。消防隊をはじめ医師会の先生方も多数参加されましたが、みなさん近年の不安定な世情に不安を抱かれているせいか、かなり真剣な訓練でした。起こってはならないことですが、万が一この地域で大規模災害が発生しても被害を最小限にとどめるものと期待されました。

 翌9月10日には一般の方々を対象にした救急処置に関する講演会を開催しました。「とっさの時の救急処置」と題する当院麻酔科部長の山下順正先生の講演は、題名通りの誰でも簡単にできるさまざまな救急処置についてのお話で好評を博しました。

 10月15日には当院でも大規模災害訓練が行なわれました。負傷者多数の大きな交通事故を想定した訓練で、この詳細は本紙11月号に掲載しましたが、院内のみならず消防など関係機関との連携が大切であることを学ぶよい機会になりました。一週間後には「災害時対応」と題した講演会も開催され、職員の学びを深めることができました。

 年末には救命処置の講習会を開催しました。12月3日は一次救命処置、翌日は二次救命処置についてでした。

 12月3日土曜日の午後3時からはじまった一次救命処置講習会には、郡内医療施設職員(看護師、介護職など)のほかに消防関係者、学校関係者(保健担当)など50名が受講されました。いきなり目前で人が倒れ心肺蘇生の場面が展開されるシュミレーションに、会場内に緊張感が走りました。その後、わかりやすい講義と約20名のインストラクターによる実習で、受講者たちはおおいに勉強となったようです。AED(自動体外除細動器)の使い方までを実習でき、3時間後の終了時には「是非、またやってください」の声もたくさん寄せられました。

 翌日は朝9時から夕方5時半まで二次救命処置講習会が行なわれました。受講者は郡医師会員16名に阿久根市民病院と出水市立病院の勤務医8名で、総勢24名の医師ばかりの講習会は県内でもかつてない規模とのことでした。そのためインストラクターは県内外から12名のドクターを含む総勢30名に参加していただきました。講習は4グループに分かれ実技主体の内容で、一次救命処置に始まり気管内挿管による気道確保、心電図波形診断、鑑別診断、救急薬剤の使用方法など、より高度な二次救命処置についての実習でびっしりのスケジュールで行なわれました。受講者は老いも若きもみな真剣に受講され、この地域の先生方の地域医療に対する意気込みを再認識させられました。基本的なことはわかっていても、とっさの時は身体が思うように動かないと実感しましたが、同感された方がいらっしゃいました。繰り返しの訓練の必要性を今更ながら思い知らされました。

 今後もさまざまな取り組みを行い、地域での災害・救急医療のさらなる充実を図っていきたいと思っています。

(文責:田辺)


*BLSコースに参加して

 地域の救命医療の知識・技術のレベルアップを目的として、12月3日土曜日、出水郡医師会主催でBLS講習会がありました。

 BLSとは、心肺停止状態の時に、呼吸および循環を補助し、救命するための処置の一つで、一次救命処置のことをいいます。

 当日は、九州各地から日本救急医学会認定のインストラクター(医師・救命士)十数名が当院へ集結し、受講者は当院看護師・医療従事者をはじめとした出水郡医師会の各病院、医院、各施設、消防組合、なかには、小学校教員と50名ほどの参加がありました。

 1グループに3〜4名の受講者に1名のインストラクターがつき、蘇生人形を使い、“もし街中で倒れている心肺停止状態の傷病者を発見した場合”を想定したAED(自動体外式除細動器)についての使用方法・注意法、BLSの“見て、聞いて、感じて”と判断する人工呼吸・心臓マッサージと実際に基本技術の一連の流れを実演・実地訓練することができ、また救急のカリスマと呼び名の高い医師が作成した蘇生法を音楽と劇を交えたビデオ学習も興味をひき非常に分かりやすい内容の講習会でした。

今回は人形でしたが、いざ現場で遭遇した場合、救急車、救急救命士が到着するまでに即座に実践できなければ意味がありません。現場の状況も違い想定外の事もあるかもしれませんが、定期的に反復したトレーニングが必要だと感じました。(院内でもBLS・AEDの教育はされています)

 まだまだ設置場所の少ないAEDの普及、地域住民への救急セミナーや救急の関心への働きかけが必要で、地域の誰もが心肺蘇生法を実施できることで出水郡内の救命率の向上につながるのではないでしょうか。救命において、3H(Head/Hands/Heart)、頭と手と心の連動した実践能力が大切だと言われています。傷病者・患者さんの急変が起きた場合でも即対応できるよう「心構えと実践力」をもって、今後も地域の救命に取り組んでいきたいです。

(文責:前平)



次ページへ 広報誌トップへ 阿久根市民病院トップへ